大塚化学株式会社(本社:大阪市中央区大手通3丁目2番27号、代表取締役:土佐 浩平、以下大塚化学)は、機能性ポリマー事業の抜本的強化に向けて、このたび、新たな技術を獲得し、生産能力の拡大を図るため新プラント建設に着手しました。
大塚化学は、株式会社クラレ(本社:東京都千代田区大手町2-6-4 常盤橋タワー、代表取締役社長:川原 仁、以下クラレ)との間で、クラレが保有するアクリル系ブロック共重合体「クラリティ」に関する知的財産権の一部の譲受、および、製造技術の導入支援の契約を締結いたしました。
今回導入する技術は、クラレが独自に開発し長年事業展開してきた「クラリティ」にかかわるリビングアニオン重合技術です。独自の触媒システムにより、分子量分布が極めて狭く、高純度なポリマーの製造が可能となります。透明で、軟質から硬質材料まで幅広い形態をとりうるアクリル素材であり、各種改質剤、添加剤、粘着剤、成形材料などに使用されています。
一方で、大塚化学も、従来から、独自に開発したリビングラジカル重合法(TERP法)を用いた機能性ポリマー「TERPLUS」を展開してまいりました。「クラリティ」と同じアクリル系の制御ポリマーですが、異なる特徴や機能を発現します。
今回の技術導入により、リビングアニオンとリビングラジカルという2つの制御重合技術を保有し、両技術を融合することで、顧客ニーズに応じた今までにない高機能なポリマーの提案が可能となります。
今後は、「クラリティ」のお客様に対する代替製品の供給準備を進めつつ、新グレードの開発を通じて、特に技術進化が求められる半導体をはじめとするエレクトロニクスや医療などの分野において、顧客のニーズ解決に向けた革新的なソリューションを提供し、共に次世代製品の創造を目指してまいります。
大塚化学では、これまで2014年に建設した第1プラントにて生産している「TERPLUS」が、液晶ディスプレイ用カラーフィルター向け顔料分散剤として大きく成長してきております。今後、世界市場の拡大に期待されているインクジェット印刷分野におけるインクの分散剤としても需要の高まりを見せており、さらにバイオ医薬原薬の精製用途として、新たな中空糸膜においても需要が見込まれるため、大塚化学徳島工場内に第2プラントの新設を決定しました。
この第2プラントは、2027年より稼働を開始いたします。当プラントは、多様なニーズに応えるため、従来の有機溶媒系ポリマーに加え、水系ポリマーの製造も可能にしました。環境対応が求められる、水系塗料や水系インクへの期待にも応えられる多機能多用途対応型の新プラントです。
【大塚化学徳島工場 TERPLUS第2プラント】

【新プラントの概要】
建屋:地上4階 延べ床面積約1,546.88m2
稼働開始日:2027年5月
大塚化学は、機能性ポリマー事業分野で、2種類のリビング重合技術を拡充させることにより、多機能化の技術バラエティーを加えることに成功しました。これにより、高機能で高付加価値なポリマーとして、他社ができない機能を顧客のニーズに沿って発揮できるようになります。今後も顧客ニーズに寄り添ったカスタマイズ製品を開発・供給してまいります。これからも「ユニーク」な化学製品を通じて、「素材のチカラ」を「KATACHI」にする会社を目指し、社会に貢献してまいります。
【参考情報】
■「TERPLUS」について 大塚化学が独自に開発したTERP法(リビングラジカル重合法の一種)により製造される機能性ポリマー。分子構造を精密に制御することで、従来のポリマーでは実現できなかった高機能性を発揮します。
■「クラリティ」について 株式会社クラレが開発したアクリル系ブロック共重合体。独自触媒によるリビングアニオン重合技術により、高純度で分子量分布の狭い特性を持つ高機能ポリマーです。
※クラリティは、株式会社クラレの商標です。
※TERPLUSは、大塚化学株式会社の商標です。
【本件に関するお問い合わせ先】
大塚化学株式会社 総務部
Occ.Release@otsuka.jp