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【コラム】紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは?成分名やメリット、デメリットなどを解説

プラスチック製品や化粧品、塗料など、私たちの身の回りの様々な製品に使用されている紫外線吸収剤(UV吸収剤)。紫外線による劣化や変色から材料を守る重要な添加剤として、欠かせない存在となっています。
しかし、UV吸収剤の種類や特性、適切な選定方法について詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、UV吸収剤の基本的な仕組みから、主要な成分名、メリット・デメリットなどを解説します。製品の品質向上とコスト最適化を両立するための参考資料として、ぜひお役立てください。

【コラム】紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは?成分名やメリット、デメリットなどを解説

紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは?

まず始めに、紫外線吸収剤についての基礎知識を解説します。紫外線吸収剤を活用しようと考えている方は、メカニズムや作用原理などを理解しておくことが大切です。

紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは何か

紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは、紫外線が物質に与える悪影響を防ぐために配合される化学物質の総称です。
主に、紫外線エネルギーを吸収し、熱エネルギーなどの無害なエネルギーに変換することで、製品の劣化を抑制し、品質を維持する役割を果たします。プラスチック製品、塗料、化粧品、日焼け止め、繊維製品など、幅広い分野でその効果が活用されています。

紫外線による材料劣化のメカニズム

紫外線は、その高いエネルギーによって物質の化学結合を切断したり、新たな結合を形成したりする能力を持っています。
特に高分子材料(プラスチック、塗料など)においては、紫外線によって光酸化反応が誘発され、分子鎖の切断や架橋反応が進行します。
この劣化プロセスにより、材料は変色(黄変、白化)、光沢の消失、表面のひび割れ、強度低下、脆化などの物理的・化学的変化を起こし、最終的に製品の寿命が短縮されます。

紫外線吸収剤(UV吸収剤)の作用原理

UV吸収剤の主な作用原理は、特定の波長域の紫外線を効率的に吸収し、そのエネルギーを無害な形で放出することです。
具体的には、紫外線吸収剤の分子が紫外線を吸収すると、分子内の電子が励起状態になります。
その後、励起された電子は、熱振動や分子内での構造変化などを介して、吸収したエネルギーを熱として放出したり、より低いエネルギー状態の光として再放出したりして基底状態に戻ります。
このサイクルを繰り返すことで、紫外線が材料本体に到達するのを防ぎ、材料の光劣化を抑制します。

分類と種類

紫外線吸収剤(UV吸収剤)は、その化学構造、用途、そして物理的な形状によって多岐にわたる種類に分類されます。これらの分類を理解することは、特定の材料や製品に最適なUV吸収剤を選定する上で非常に重要です。適切なUV吸収剤を選ぶことで、材料の紫外線劣化を効果的に抑制し、製品の性能と寿命を向上させることができます。

用途による分類

UV吸収剤は、使用される製品や材料の種類に応じて、求められる特性が異なるため、用途によっても分類されます。特定の用途に特化したUV吸収剤が開発され、提供されています。

プラスチック用

自動車部品、建材、農業用フィルム、包装材料など、様々なプラスチック製品の耐候性向上に用いられます。透明性や成形加工時の熱安定性が重視されます。

塗料用

外壁塗料、自動車用塗料、木材保護塗料、工業用塗料などに添加され、塗膜の劣化(チョーキング、変色、光沢低下)を防ぎます。塗膜との相溶性や長期的な安定性が重要です。



※ 塗膜表面が粉状に劣化し、手で触れると白い粉が付着する現象

化粧品用

日焼け止め、スキンケア製品、ヘアケア製品などに配合され、肌や髪を紫外線から保護します。安全性、肌への刺激の少なさ、安定性、そして透明性が特に求められます。

繊維用

衣料品、カーテン、産業用繊維などに使用され、繊維の強度低下や変色を抑制します。洗濯堅牢度や繊維への定着性が考慮されます。

インク・接着剤用

印刷インクや各種接着剤の耐光性を高め、製品の品質維持に貢献します。

各用途において、UV吸収剤は単独で用いられるだけでなく、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などの他の光安定剤と組み合わせて使用されることで、相乗効果を発揮し、より高い耐候性を実現することが一般的です。

形状による分類(粉末・液体・ペレット)

UV吸収剤は、材料への配合方法や加工プロセスに合わせて、様々な物理的形状で提供されます。この形状は、取り扱いやすさ、分散性、そして最終製品への均一な配合に影響を与えます。

粉末状

最も一般的な形態で、高濃度で提供されることが多いです。様々な化学構造のUV吸収剤が粉末として供給されており、マスターバッチ製造の原料や、直接材料に混合する際に使用されます。計量や分散には注意が必要ですが、コスト効率に優れる場合があります。

液体状

液状の樹脂、塗料、接着剤などへの分散性に優れ、混合が容易です。粉塵の発生がなく、取り扱いが比較的簡単です。特定の溶剤に溶解または分散させた溶液やエマルションとして提供されることもあります。

ペレット状

主に樹脂への配合に適した形態です。UV吸収剤を樹脂中に高濃度で均一に分散させたマスターバッチ(着色剤や他の添加剤も含むことがある)として提供されることが多く、射出成形や押出成形などの樹脂加工プロセスにおいて、計量や混合が非常に容易です。粉塵の発生も少なく、作業環境の改善にも貢献します。

主な成分名と特徴

ここでは、主な紫外線吸収剤の成分名を解説します。種類ごとに特徴が異なるため、適した吸収剤を選定する際のヒントとしてご活用してください。

ベンゾトリアゾール系

ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、広範囲の紫外線(UV-AおよびUV-B)を効率良く吸収する能力を持ちます。特に熱安定性と耐光性に優れており、高温での加工や長期間の屋外使用にも適しています。プラスチック、塗料、接着剤、繊維、化粧品など幅広い分野で利用されており、製品の黄変や劣化を防ぐ効果が期待できます。
代表的な成分としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾールや、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体などがあります。

トリアジン系

トリアジン系の紫外線吸収剤は、特にUV-A領域の吸収能に優れ、非常に高い熱安定性、耐光性、耐薬品性を持つことが特徴です。高分子量であるため、素材からの揮発が少なく、長期的な効果が持続しやすい利点があります。
このため、エンジニアリングプラスチック、自動車用塗料、高耐久性が求められる屋外用途の建材などに多く採用されています。
主な成分としては、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)や、オクチルトリアゾン(エチルヘキシルトリアゾン)などが挙げられます。

シアノアクリレート系

シアノアクリレート系の紫外線吸収剤は、主にUV-B領域の紫外線を吸収する特性を持ちます。比較的安価で汎用性が高く、プラスチック製品、接着剤、一部の化粧品などに使用されます。
熱安定性は他の系統に比べて劣る場合がありますが、特定の用途においてはコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。代表的な成分としては、エチルヘキシルメトキシシンナメート(オクチノキサート)やオクトクリレン(オクチルメトキシシンナメート)などがあります。

ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)

ヒンダードアミン系光安定剤(HALSHindered Amine Light Stabilizers)は、厳密には「紫外線吸収剤」とは異なるメカニズムで材料を保護します。
HALSは紫外線を吸収するのではなく、紫外線によって材料内部で生成されるラジカル(活性種)を捕捉し、酸化劣化の連鎖反応を抑制することで、材料の光劣化を防ぎます。これにより、製品の耐候性や寿命を大幅に向上させることができます。
紫外線吸収剤と併用することで、相乗効果を発揮し、より強力な光劣化防止効果が得られるため、屋外で使用されるプラスチック製品、塗料、繊維など、長期的な耐候性が求められる分野で広く利用されています。
主な成分としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートなどが知られています。

使用するメリット

製品寿命の延長効果

UV吸収剤を製品に添加することで、紫外線による材料の劣化を大幅に抑制し、製品寿命を延長する効果が期待できます。
紫外線は、プラスチック、塗料、ゴム、繊維などの有機材料に照射されると、分子結合を切断し、脆化、ひび割れ、変形、強度低下、粉化といった物理的・化学的劣化を引き起こします。
UV吸収剤は、これらの有害な紫外線を吸収し、熱エネルギーなどに変換して無害化することで、材料が本来持つ物性や性能を長期間にわたって維持することを可能にします。
特に屋外で使用される自動車部品、建築材料、農業用資材、屋外家具、電子機器の筐体などにおいて、その耐候性や耐久性を向上させ、製品の信頼性を高める上で不可欠な役割を果たします。

色調変化の抑制

紫外線は、材料に含まれる色素や染料、顔料にも影響を与え、色あせや黄変、退色といった色調変化を引き起こす主な原因となります。
これにより、製品の美観が損なわれ、商品価値が低下する可能性があります。UV吸収剤は、これらの色調変化を引き起こす紫外線を吸収・遮断することで、製品の鮮やかな色彩や本来の色合いを長期間にわたって保持する効果があります。
着色されたプラスチック製品、塗料、繊維製品、化粧品の容器、ディスプレイスクリーンなど、色彩が重要な要素となる製品において、UV吸収剤は製品の美観とブランドイメージを維持するために重要なメリットをもたらします。

コスト削減効果

UV吸収剤の使用は、製品のライフサイクル全体におけるコスト削減に大きく貢献します。製品寿命が延長されることで、交換や修理の頻度が減り、それに伴う部品費用や人件費、廃棄物処理費用といった維持管理コストを削減できます。
また、色調変化が抑制されることで、製品の再塗装や再加工の必要性が減り、品質保証に関わるクレーム対応や不良品発生のリスクも低減されます。
長期的な視点で見ると、初期投資としてのUV吸収剤のコストは、製品の耐久性向上と品質維持による経済的メリットによって十分に相殺され、結果としてトータルコストの削減に繋がります。これにより、企業の競争力向上や環境負荷の低減にも寄与すると考えられます。

デメリットと注意点

加工性への影響

UV吸収剤は、樹脂や塗料に添加する際に、その溶解性や分散性が課題となることがあります。均一に分散しない場合、製品の透明性や外観を損ねるだけでなく、期待される紫外線防御効果を十分に発揮できない可能性があります。

 

特に、高温での加工時には、UV吸収剤が揮発したり、熱分解を起こしたりするリスクがあります。

 

これにより、製品の品質が低下したり、加工ラインの汚染につながったりする可能性があります。また、多量に添加すると、製品本来の機械的特性(強度や柔軟性など)に影響を与える場合があるため、適切な添加量の見極めと、使用するUV吸収剤の熱安定性や揮発性を考慮した選定が重要です。

製品への色調影響

UV吸収剤の中には、それ自体がわずかに黄色味を帯びているものがあり、透明なプラスチック製品や白色の塗料などに添加すると、製品の初期色調に影響を与える可能性があります。
また、UV吸収剤が紫外線を吸収し続けることで、時間とともに自身が分解・変質し、製品全体が黄色く変色する「黄変」と呼ばれる現象を引き起こすことがあります。
この黄変は、特に長期的な屋外使用において顕著になることがあり、製品の美観を損ねる要因となります。そのため、色調への影響が少ない、あるいは黄変しにくいタイプのUV吸収剤を選定することが重要です。

選定基準

UV吸収剤を選定する際には、製品の性能を最大限に引き出し、かつ安全性や経済性を確保するために、多角的な視点から評価を行う必要があります。使用される環境、母材との適合性、そして法規制への準拠が主な選定基準となります。

使用環境による選定

UV吸収剤の効果は、製品が曝される環境によって大きく左右されます。そのため、実際の使用環境を考慮した選定が不可欠です。

屋外用途か屋内用途か

屋外で使用される製品は、太陽光からの強力な紫外線に常時曝されるため、極めて高い耐候性と光安定性を持つUV吸収剤を選定する必要があります。
一方、屋内用途では、蛍光灯やLED照明などからの紫外線量が比較的少なく、屋外用途ほど高い耐候性は求められない場合があります。使用環境の紫外線強度と曝露期間を考慮し、適切な性能レベルのUV吸収剤を選ぶことが重要です。

温度・湿度条件

高温多湿な環境下では、UV吸収剤の熱分解や加水分解が促進され、その効果が低下する可能性があります。特に、成形加工時の高温や製品の長期使用における高温環境を想定し、優れた熱安定性と加水分解安定性を持つUV吸収剤を選ぶ必要があります。湿度の影響も考慮し、吸湿性やブリードアウトのリスクが低い製品が望ましいです。



※添加剤が製品表面に滲み出る現象

光の種類と強度

紫外線は波長によってUV-AUV-BUV-Cに分類され、それぞれ材料に与える影響や吸収剤が効果を発揮する波長領域が異なります。製品が曝される光の種類(太陽光、蛍光灯、LED、水銀灯など)やその強度に応じて、ターゲットとする波長領域を効率的に吸収できるUV吸収剤を選定することが重要です。

母材との相性評価

UV吸収剤は単体で使用されることはなく、必ず何らかの母材(樹脂、塗料、繊維など)に配合されます。母材との相性は、製品の性能、加工性、外観に直接影響を与えます。

樹脂の種類と特性

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PVC、アクリルなど、樹脂の種類によってUV吸収剤との親和性や安定性が異なります。例えば、極性の高い樹脂には極性のUV吸収剤が、非極性の樹脂には非極性のUV吸収剤が適している場合があります。母材樹脂のTg(ガラス転移温度)や融点、加工温度なども考慮し、熱安定性に優れた吸収剤を選ぶ必要があります。

添加剤との相互作用

UV吸収剤は、酸化防止剤、滑剤、着色剤、難燃剤など、他の様々な添加剤と共に配合されることが一般的です。これらの添加剤との間に化学的な相互作用が発生し、UV吸収剤の効果が低下したり、製品の劣化を促進したりする可能性があります。実際に使用する添加剤の組み合わせで評価を行い、相互作用の少ないUV吸収剤を選定することが重要です。

分散性と溶解性

UV吸収剤が母材中で均一に分散し、溶解していることは、その効果を最大限に発揮させるために不可欠です。分散性が悪いと、製品中に凝集物が生じ、透明性の低下や外観不良、さらにはUV保護効果のムラにつながります。母材への溶解度や分散性を評価し、加工プロセスに適した形状(粉末、液体、マスターバッチなど)のUV吸収剤を選ぶ必要があります。

まとめ

紫外線吸収剤(UV吸収剤)は、プラスチックや塗料などの材料を紫外線による劣化から保護し、製品の寿命延長や色調維持に不可欠な機能性添加剤です。ベンゾトリアゾール系やトリアジン系など多種多様な成分が存在し、それぞれ異なる特性を持ちます。

製品の品質、信頼性、そして長期的なコスト効率を高めるためには、用途に応じた最適なUV吸収剤の選定が極めて重要です。使用環境、母材との相性、加工性、環境・安全性、そして関連規制への適合を総合的に考慮し、適切な選択を行うことが、製品の持続可能性を大きく左右します。

塗料やコーティング剤の性能を長期間維持するためには、紫外線による劣化を根本から抑制することが不可欠です。



大塚化学の反応型紫外線吸収剤「RUVA-93は、この課題を解決するために開発された製品です。

従来の紫外線吸収剤が塗料中で徐々に揮発・溶出してしまうのに対し、RUVA-93は、塗料の原料であるビニル系モノマーと重合し、高分子鎖の中に紫外線吸収機能を組み込みます。この技術により、紫外線吸収剤が塗膜から失われることなく、長期にわたって安定した紫外線防御効果を発揮します。

自動車用塗料や建材用塗料など、耐久性が特に求められる用途でRUVA-93は、製品の信頼性を飛躍的に高めることに貢献しています。

さらに詳しく知りたい方は、大塚化学の公式サイトをご覧ください。


▶紫外線吸収剤RUVA-93の詳細はこちら

https://www.otsukac.co.jp/products/cat-materials-for-polymers/ruva-93.html

 

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https://www.otsukac.co.jp/sds/index.html

 

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